2010年8月15日日曜日



●ソーシャルメディアを使った「おススメ本棚」の共有・情報送信受信の試み
A.現状
現在所属する高校は農業科と総合学科(情報・商業・福祉系列選択)の実業高校で、卒業生の進路は就職と専門学校等への進学がほぼ半々の高校です。生徒の読書意欲や読解力はけして高くはないですが、年に春・秋に2週間行われる旬間朝読書(始業後8:40~8:50の10分間、好きな本を読む)後のアンケートでは85%が読書を肯定的にとらえています。つまり本嫌いではないわけです。
一方図書館は一昨年度来のかつてない予算減により、購入冊数の大幅減をよぎなくされました。少ない予算の中でも利用を増やす試みが求められています。

B.目的
ソーシャルメディアを活用することによって、利用者である生徒と司書、生徒と生徒、生徒と教員との情報共有がすすみ、ひいては図書館が活性化することを期待。

C.試み
1.Booklog-(1)司書からおススメの本の紹介ツールとして
 手始めに司書からと「おススメの本棚」を作成。
2.Booklog-(2)高校生から高校生への本の紹介ツールとして
 同世代からのおススメの方がより彼らにとって近しい本が出てくるのではないかと登校日に図書委員たちに相談しました。共鳴した図書委員が紹介してコメントをくれたものをアップしました。(新しい本を求めているわけでもないことに気がつく)
3.Booklog-(3)生徒リクエスト本の連絡・紹介ツールとして
 月に1回出す新着図書案内には「これはリクエストで購入」といった情報は載せていませんが、「これってリクエスト?」というお訊ねはけっこうあります。もちろん同級生たちがどんな本をリクエストしているかは彼らの大きな関心事。本人への予約連絡の代わりにならないかとも。担任教員から(書名は伏せてあるとはいえ)連絡をもらうのを嫌がる生徒もいるのです。
4.Booklog-(4)(当たり前の)新着図書紹介ツールとして
 幸か不幸か購入できる冊数が少ないので、ブクログで「今週の新着本」として紹介はできます。ただあまりにも当たり前のアイデアなので...。
5.試行できなかった幻のサービス
Booklog-(4)秋の読書旬間に向けて”クラスの本棚”ツールとして すべてのクラスでは難しいと思いますが、教員も生徒も読書への関心が特に高いクラスで秋以降試行してみたいと考えています。HR担任が薦めたり、(朝読書では教室で一緒に読書をするので)何を読んでいるかの紹介をしたり、クラスでお好みの本棚を作るのも楽しんで参加できるのではないかと。

D.評価
 「書店と違っておススメの本を展示しても借りられてしまったら次がない」という、図書館としては当たり前だけれども根本的な問題に、このバーチャルな本棚は対応できる点がメリットと感じます。また1冊1冊にPOPやひとことを紙媒体で作ったりしなくても、「レビュー」で簡単にコメントをつけていける点も作製者としては魅力でした。実務への導入の場合、構築のためのコストもその後のランニングコスト(100%人件費)も、月1回発行している「新着図書案内」(製作のための人件費+1回あたりA4・1,000枚のインクと紙代)と比較すれば歴然です。
 しかしいずれの試みもほとんど生徒が登校しない夏休み期間で周知が徹底せず、図書委員だけにとどまってしまいました。

E.実務への導入課題
1.使用メディア-私のような初心者にもなんとか扱えたブクログですが、手軽な分、課題もあります。生徒がアクセスするとなると、自宅からPCでより携帯からモバイルサイトでという利用環境になると思いますが、モバイルサイトではバナーも多く、本の詳細を見ようとするとamazonに入ってしまい、紹介したいだけで購入してほしいわけでない司書側としては実際の利用には抵抗があります。導入の際は商業ベースでない環境を用意したいと考えていますが…。
2.フィルタリング-高校図書館で利用できるネット端末は上記のようなコミュニティサイトには入れないようフィルタリングされています。モバイルサイトで見ることはできますが、やはり情報量を考えると学校PCでもアクセスできることが望ましいでしょう。本校だけでどうとでもできる状況にはないですが、事前登録したサイトには入れるような対応を要望していきたいと考えています。
3.利用者が能動的にアクセスしないと情報が得られない-紙媒体の新刊案内などはいやがおうでも配布されれば目に入る情報ですが、「バーチャル本棚」はアクションを起こさないと情報が得られず、利用をどう広げていくかは課題です。

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